ビジネスシーンで利用する機会があるガールズバー。その飲食費を経費として計上できるかという疑問を持つビジネスパーソンや個人事業主は少なくありません。「接待に使った」「取引先との打ち合わせで利用した」場合、本当に税務上の経費として認められるのでしょうか?
法律上では「ガールズバーは経費にできる・できない」という明確なルールは存在しません。経費計上の可否は、あくまでも税法の解釈と実態に基づいて判断されます。最終的には、その支出が**「事業・業務に関連する必要経費」と客観的に認められるか**がポイントとなります。
この記事では、経費計上の基本条件から、会社員と個人事業主それぞれの処理方法、接待交際費としての計上手続き、そして税務調査で問題にならないための対策まで、実務的な観点から解説します。税理士ではない筆者の経験と一般的な知識に基づく内容ですが、実際の経費計上の参考になる情報を提供します。
なお、経費に関する判断は事業内容や利用状況によって異なるため、具体的な税務判断については税理士や税務署への確認をお勧めします。
ガールズバーの飲み代を経費にできる基本条件
ガールズバーでの飲食代を経費として計上できるかどうかは、多くのビジネスパーソンや個人事業主が抱える疑問です。結論から言えば、業務との関連性が証明できれば経費計上は可能ですが、いくつかの重要な条件を満たす必要があります。
経費計上の前提条件:業務関連性の証明
経費として認められるための最も重要な基準は、**「所得・売上を得るために客観的に見て必要な支出かどうか」**という点です。税法では具体的な業種や店舗タイプについての言及はなく、あくまでもその支出が事業に必要だったかどうかで判断されます。
ガールズバーでの飲食費を経費として認めてもらうためには、以下の条件を満たす必要があります:
業務関連性を証明するポイント:
- 取引先や業務関係者との接待であることが明確であること
- 業務上の打ち合わせや商談の場として利用していること
- 使用した金額がその目的に対して妥当であること
- 支出の日時・金額・目的が記録されていること
単に「遊びで行った」場合は当然経費にはなりませんが、ビジネス目的であれば経費として認められる可能性は十分にあります。
会社員と個人事業主で異なる経費計上のルール
会社員と個人事業主では経費計上のルールや手続きが大きく異なります。
会社員の場合は、まず第一に会社の経費規定に従う必要があります。会社によっては飲食店の種類や上限金額、必要な承認プロセスなどが厳格に定められています。会社の経費規定で「ガールズバーは不可」と明記されている場合は、たとえ業務目的であっても経費計上はできません。
会社員の経費処理の流れ:
- 会社の経費規定を確認する
- 必要に応じて事前承認を得る
- 領収書またはレシートを保管する
- 経費申請書に必要事項(参加者、目的など)を記入して提出
- 上司や経理部門の承認を得る
一方、個人事業主の場合は、確定申告の際に自身の判断で経費計上を行います。ただし、税務調査の際に説明を求められる可能性があるため、以下の点に注意が必要です:
個人事業主の経費計上のポイント:
- 業務日誌などで業務関連性を記録しておく
- 取引先との関係を明確にできるようにしておく
- 適切な金額の範囲内で利用する
- 領収書やレシートを必ず保管する
- 経費として計上した理由を説明できるようにしておく
接待交際費と会議費の違いと使い分け
ガールズバーでの飲食費を経費計上する際、「接待交際費」と「会議費」のどちらで計上するかも重要なポイントです。
接待交際費は、取引先や顧客を接待するための費用を指します。法人の場合、接待交際費は一部が損金不算入となる可能性があります(交際費等の損金不算入制度)。個人事業主の場合は全額経費になりますが、税務調査で特にチェックされやすい費目です。
会議費は、社内外の会議に伴う飲食費を指します。純粋に業務上の打ち合わせであれば、会議費として計上できる可能性があります。会議費として認められれば、法人でも全額損金算入が可能です。
使い分けのポイント:
- 主な目的が接待か会議かで判断する
- 接待色が強い場合は接待交際費
- 業務打ち合わせが主な場合は会議費
- 一人当たりの金額も判断基準(会議費は一般的に低額)
- 参加者の構成も重要(社内のみなら会議費の可能性が高い)
どちらの費目で計上するかは明確な線引きが難しい部分もありますが、実態に即して適切に判断することが重要です。判断に迷う場合は、税理士に相談することをおすすめします。
実際の経費計上においては、店舗の選択も重要です。業務上の目的で利用する場合でも、店舗の特性によって経費として認められやすさが変わることがあります。次のセクションでは、より具体的な経費計上の方法について解説します。
ガールズバーでの飲み代を経費計上する具体的な方法
ガールズバーでの飲み代を経費として計上する方法は、あなたが会社員なのか個人事業主なのかによって大きく異なります。また、接待交際費として計上するのか、会議費として計上するのかによっても手続きや注意点が変わってきます。それぞれの立場に合わせた具体的な方法を解説します。
会社員の場合:会社のルールと申請手続き
会社員の場合は、基本的に会社の経費精算ルールに従うことが最優先です。会社によって経費の取り扱いは大きく異なるため、まずは自社の規定を確認しましょう。
会社員が押さえるべきポイント:
- 経費申請前に上司や経理担当者に確認する
- 会社指定の経費精算フォームを正しく記入する
- 業務上の必要性を明確に説明できるようにしておく
- 参加者全員の氏名と所属を記録する
- 案件名や商談の目的を具体的に記載する
多くの会社では、接待交際費として申請する場合、事前申請が必要だったり、役職による利用上限額が設定されていたりします。中小企業でも交際費等の損金算入限度額(2023年度は交際費の50%)があるため、会社としても無制限に経費として認められるわけではありません。
会社によってはガールズバーやキャバクラなどの風俗営業店での支出を明示的に禁止している場合もあるため、社内規定をよく確認してください。規定がグレーな場合は、上司の事前承認を得ておくことが安全です。
個人事業主の場合:確定申告での処理方法
個人事業主の場合は、自身が経費の最終判断者となります。ただし、税務調査の際に説明責任があることを忘れてはいけません。
個人事業主が経費計上する際の基本手順:
- 業務関連性の証拠を残す(商談相手との名刺交換、メールのやり取りなど)
- 領収書やレシートを必ず取得し保管する
- 帳簿に正確に記録する(日付、金額、目的、相手先など)
- 適切な勘定科目を選択して計上する
- 確定申告書に正しく記載する
個人事業主の場合、接待交際費は「交際費」として、会議費は「会議費」または「旅費交通費」の一部として計上するのが一般的です。青色申告の場合は、複式簿記で正確に記帳することで、税務調査時にも説得力が増します。
特に注意したいのが、プライベートな飲食と業務上の接待・会議の区別です。個人事業主は自宅近くで一人での飲食も可能ですが、これを常に経費にすると税務署から疑問視される可能性が高いです。
接待交際費として計上する場合の注意点
ガールズバーでの支出を接待交際費として計上する場合、次の点に注意が必要です。
接待交際費計上の注意点:
- 取引先や業務関係者が同席していることが前提
- 単なる社内飲み会は接待交際費には該当しない
- 接待の業務上の必要性を説明できるようにしておく
- 過度に高額な接待は疑義を持たれやすい
- 同一人物への頻繁な接待は不自然と見なされることがある
接待交際費は税務調査でも重点的にチェックされる項目です。特に法人の場合、交際費等の損金算入限度額を超える部分は経費として認められないため、年間の接待交際費総額を把握しておく必要があります。
記録する際は、誰と、どのような商談や打合せのために利用したのかを明確にしておきましょう。単に「接待」とだけ記録するのではなく、「○○社△△氏との商品開発打合せのため」など、具体的な業務目的を記録しておくことが重要です。
会議費として計上する場合の条件
ガールズバーでの支出を会議費として計上するには、より厳格な条件を満たす必要があります。
会議費として認められる条件:
- 明確な議題がある会議や打合せであること
- 通常の会議室ではできない理由が説明できること
- 飲食の金額が会議の主目的を超えていないこと
- 参加者全員が業務関係者であること
- 業務時間内か、それに準じる時間帯であること
会議費は接待交際費と異なり、損金算入限度額の制限がないため、全額が経費として認められる可能性があります。ただし、その分だけ税務調査で厳しくチェックされると考えるべきです。
会議費として計上する場合は、会議の記録(議事録など)を残しておくと証拠として有効です。また、深夜に及ぶ飲食や高額なドリンクが含まれる場合は、会議費としての性格が薄れると判断されるリスクがあります。
ガールズバーという場所柄、会議費よりも接待交際費として計上するほうが説明しやすい場合が多いでしょう。どちらで計上するにしても、実態に即した適切な判断を心がけることが重要です。
経費計上に必要な証拠書類と記録の残し方
ガールズバーでの支出を経費として認められるためには、適切な証拠書類の取得と保管が不可欠です。税務調査が入った際に、その支出が「仕事のため」であったことを客観的に示すための重要な証拠となります。
領収書・レシートの正しい取得方法
飲食を経費として計上する際、最も基本的な証拠となるのが領収書またはレシートです。これらを正しく取得するポイントは以下の通りです。
取得時の注意点:
- その場で発行してもらう(後日発行は避ける)
- 店舗名・日付・金額が正確に記載されているか確認する
- 複数人での利用の場合は、参加者の人数や名前を記録しておく
特に注意すべきは空の領収書です。日付や金額が未記入の領収書を渡されることがありますが、これは税法上不適切です。たとえ税務署がすべての領収書を詳細に調査することは現実的には難しいとしても、正規の手続きを踏むことが重要です。
領収書に記載すべき必須項目
税法上、経費として認められるための領収書には、以下の項目が必須です。
領収書の必須記載項目:
- 発行日付(いつ利用したか)
- 宛名(個人名または会社名)
- 金額(消費税の記載も望ましい)
- 発行元(店舗名・住所・連絡先)
- 取引内容(「飲食代」「接待費」など)
- 発行元の印影(店舗の印鑑)
特に宛名については、個人事業主であれば個人名、会社経費であれば会社名が正確に記載されていることが重要です。「上様」では税務調査の際に疑義を持たれる可能性があります。
電子決済・クレジットカード利用時の注意点
現代ではキャッシュレス決済の普及により、領収書の取り扱いも変化しています。
電子決済利用時の注意点:
- クレジットカード明細は領収書の代わりになるが、取引内容や参加者などの追加情報を記録しておく
- PayPayなどのQRコード決済では、アプリ内の利用履歴や明細書をPDF保存しておく
- 会社経費の場合は法人カードの利用が望ましい(個人カードの場合は会社への請求手続きが必要)
- 電子帳簿保存法の要件に注意(2022年以降の改正で要件緩和されているが基本ルールはある)
特に業務関連性を示すために、決済記録だけでなく「誰と」「何の目的で」会食したかのメモを残しておくことで、後日の説明がスムーズになります。
経費として認められやすい金額の目安
**「いくらまでなら経費として認められるか」**という明確な基準は税法上存在しませんが、一般的な目安として考慮すべき点があります。
経費認定の判断材料:
- 業界の慣行に照らして妥当な金額か
- 会社であれば社内規定の範囲内か
- 1人あたりの単価が接待の目的に見合った金額か
- 頻度が業務上の必要性と見合っているか
たとえば、一般的なビジネス接待であれば、1人あたり1万円前後が多いとされますが、重要な商談や特別な場合はそれ以上の金額でも合理的な説明ができれば問題ありません。
重要なのは一貫性です。通常の接待が5,000円程度なのに、特定のケースだけ極端に高額になっている場合、税務調査で「なぜ」という質問を受ける可能性が高まります。
記録は最低5〜7年間は保管するのが賢明です。税務調査は通常、直近の数年分を対象としますが、不正の疑いがある場合には、より長期間さかのぼって調査されることもあります。
税務調査でチェックされやすいポイントと対策
ガールズバーでの飲食費を経費として計上する際、最終的な判断者は税務署です。税務調査で指摘を受けないためには、事前にリスクを理解し、適切な対策を講じておくことが重要です。
「それ経費じゃない」と指摘されやすい状況とは
税務調査官がガールズバーの飲食費を経費として認めないケースには、いくつかの典型的なパターンがあります。
経費否認されやすい状況:
- 業務との関連性が不明確な場合(何の目的で、誰と会ったのかを説明できない)
- 頻度が高すぎる場合(週に何度も同じ店に通っている)
- 一人での利用が多い場合(接待や会議の相手がいない)
- 自宅や住居近くの店での利用が目立つ場合
- プライベートな時間帯(深夜や休日など)の利用が多い
- 他の経費と比較して金額が異常に高い場合
特に水商売は現金商売が多く、税務調査の対象になりやすい業種です。売上の申告漏れや過少申告が疑われやすいため、経費の計上についても厳しくチェックされる傾向があります。
頻度や金額で疑われやすいパターン
税務署は特に以下のようなパターンに注目します。
税務調査のトリガーとなりやすい要素:
- 数年にわたる赤字申告が続いている
- 近隣の同規模店と比較して売上が極端に少ない
- 人件費などの経費が異常に高い
- 確定申告でミスが多い
- 業種平均と比べて交際費の比率が高すぎる
- 同じ相手との接待が頻繁に行われている
- 高額な飲食代が定期的に計上されている
税務調査は通常過去3年分が対象ですが、不正が発覚した場合は最大で過去7年分まで遡って調査されることもあります。税務調査官が客を装って事前に店舗の状況(客入り、客単価など)を確認することもあるため、「そんなに繁盛していない店なのに高額な接待費」などの矛盾点は容易に発見されます。
事前に準備しておくべき説明と証拠
税務調査で指摘を受けないためには、以下の準備が必要です。
税務調査に備えた準備:
- 領収書やレシートの完全保管(日付、店名、金額、決済方法が明記されたもの)
- 参加者リストの作成(誰と会ったか、その人の所属や肩書き)
- 業務日誌や議事録の保管(何の目的で会ったか、どんな話をしたか)
- 取引関係を証明できる資料(接待した相手との取引履歴など)
- 合理的な金額設定(業界水準を超えない範囲で)
特に交際費は税務調査で厳しくチェックされる項目であり、「誰と、何の目的で、どんな話をしたか」を具体的に説明できる記録が重要です。
中小企業の場合、交際費は年間800万円まで損金として認められますが、ガールズバーでの飲食については特に詳細な説明を求められることがあります。会議費としては、1人あたり5,000円以下という金額基準を満たすことが目安となります。
過去の税務調査事例から学ぶポイント
実際の税務調査事例から学ぶべき教訓は多くあります。
実際の調査事例とペナルティ:
- 個人経営の居酒屋で7年間無申告だった結果、2,000万円の追徴課税が発生した事例
- 飲食店は他の業種に比べて不正が発覚する割合が高いとされている
- 経費として認められない支出があった場合、否認された分の税金に加え、過少申告加算税や延滞税が課される
- 書類の隠蔽など悪質なケースでは、さらに重い**重加算税(最大35%)**が課される可能性がある
税務調査を無難に通過するための対策:
- 合理的な説明ができる範囲で経費を計上する
- 業界平均から大きく外れない金額設定を心がける
- 事業計画書を作成し、経費の必要性を文書化しておく
- 定期的に税理士のアドバイスを受ける
- 適切な記録習慣を日常から身につける
税務署との交渉は、準備次第で大きく結果が変わります。自分が「何のために、どのような業務上の理由で」その支出をしたのかを客観的かつ論理的に説明できるように準備しておくことが最も重要です。
経費計上しやすいガールズバー選びのコツ
ガールズバーでの飲食費を経費として計上する際、どのようなお店を選ぶかも重要なポイントです。適切な店舗選びによって、経費計上の際の煩わしさを軽減し、スムーズな処理が可能になります。
領収書の発行形態をチェックするポイント
経費計上の際、領収書の発行形態は非常に重要です。初めて利用する前に確認すべきポイントを押さえておきましょう。
領収書チェックポイント:
- 宛名記入の柔軟性(会社名で発行してくれるか)
- 但し書きの対応(「飲食代」「接待費」など適切な表記ができるか)
- 詳細な内訳の記載があるか、あるいは省略可能か
- 手書き領収書か印刷領収書か(印刷されたものの方が一般的に信頼性が高い)
- 領収書の正式性(店舗印や社印がきちんと押されているか)
- 後日発行にも対応してくれるか
多くのガールズバーでは、経費処理のしやすさを考慮した領収書発行システムを整えています。特にビジネス客を多く受け入れる店舗ほど、経費計上しやすい領収書の発行に慣れています。初回訪問時には「経費で使いたいのですが」と率直に伝えると、適切に対応してくれることが多いでしょう。
店舗名・会社名の表記に注目する
経費計上のしやすさという観点からは、店舗名や会社名の表記も重要な選択基準となります。
経費計上しやすい店舗の特徴:
- ガールズバーという名称が表に出ていない店舗(「BAR○○」など)
- 複数の飲食店を経営している会社の一部門である店舗
- 領収書に**「株式会社○○」**などの会社名でのみ表記される店舗
- 系列レストランなどの名前で領収書が発行できる店舗
多くのガールズバーやキャバクラは、経営会社名で領収書を発行するシステムを取り入れています。このような店舗を選べば、「普通のレストランやバーで打ち合わせをした」という形で経費計上できる可能性が高まります。
事前に店舗のスタッフに「どのような名義で領収書が発行されるか」を確認しておくと安心です。経験豊富なスタッフは、ビジネスマンが経費で利用しやすいように配慮してくれることが多いです。
接待に適した店舗環境の選び方
経費として認められやすい接待を行うためには、店舗環境も重要な要素です。
接待に適した環境の条件:
- 会話がしやすい音量の店(大音量の音楽が流れていない)
- 個室やセミプライベート空間がある店舗
- テーブル間の距離が適度にある店
- ビジネストークに対応できるスタッフがいる店
- 接待目的での利用実績が豊富な店舗
- 適度な照明(暗すぎず、明るすぎない)
特に重要な取引先との接待では、会話の内容が周囲に漏れないよう、プライバシーが確保された空間があることが望ましいです。また、スタッフが頻繁に話に割り込んでくるような店舗は避け、ビジネストークに集中できる環境を選びましょう。
一部のガールズバーでは、ビジネス接待専用のプランを用意しているところもあります。こうしたプランは経費計上の際の説明もしやすく、業務関連性を示す上で有利になることがあります。
取引先との関係構築に活用するための戦略
ガールズバーを取引先との関係構築に効果的に活用するためには、いくつかの戦略を押さえておくことが重要です。
効果的な接待戦略:
- 目的を明確にしてから訪問する(単なる飲食ではなく、商談や情報交換など)
- 適切な人数構成を心がける(大人数すぎると会話が分散する)
- 会話の主導権を握りつつも、取引先に気を遣う
- 事前に店舗と打ち合わせをしておく(特別なサービスや配慮など)
- 滞在時間は適度に(長すぎると遊興目的と疑われる)
- 飲食内容のバランスを考える(アルコールだけでなく、食事も含める)
特に重要なのは、接待の中で具体的なビジネストークを行うことです。税務調査で「何を話したのか」を問われた際に、具体的な商談内容や情報交換の成果を説明できるよう、簡単なメモを残しておくことも有効です。
また、接待の頻度にも注意が必要です。同じ取引先と頻繁にガールズバーで会うことは、業務上の必要性という点で疑問視される可能性があります。特別な案件がある場合や節目となる商談の際など、メリハリをつけた活用を心がけましょう。
最終的には、取引拡大や売上増加につながったというような具体的な成果を示せることが、その接待費用が経費として認められる大きな根拠になります。接待後の商談進展状況などを記録しておくことも重要です。
よくある質問と回答
- ガールズバーでの飲み代は何の費目で計上すべき?
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ガールズバーでの飲食代を経費計上する際の費目選択は、利用目的や状況によって異なります。
主な費目の選択肢:
- 接待交際費:取引先や顧客との関係構築・維持が目的の場合
- 会議費:業務上の打ち合わせや会議が主目的の場合
- 福利厚生費:従業員の慰労会や社内行事の場合
接待交際費として計上する場合、中小企業では年間800万円まで損金算入が可能です。ただし、税務調査では「誰と、何の目的で」という点が重点的にチェックされます。接待の相手が取引先や顧客であり、営業上の関係構築が目的であることを証明できる記録が必要です。
会議費として計上する場合は、1人あたり5,000円以下という金額基準を目安にします。飲食を伴う会議であっても、主たる目的が打ち合わせや情報交換であることを示す議事録や業務記録を残しておくと良いでしょう。アルコールの有無は問題ありませんが、会議の内容や参加者の記録を残すことが重要です。
両方の要素がある場合は、主たる目的で判断します。例えば、日中の打ち合わせ後に夜にガールズバーで接待した場合、日中の食事は会議費、夜の接待は交際費として分けて計上するのが適切です。
- 個人事業主が確定申告する際の注意点は?
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個人事業主がガールズバーでの飲食代を経費計上する際には、以下の点に特に注意が必要です。
個人事業主の確定申告における注意点:
- 事業関連性の証明が会社員以上に重要(会社のルールがないため)
- 青色申告を選択すると記帳の負担は増えるが、控除が大きく有利になる
- 帳簿の記録を日常的にしっかりと行う(取引内容、相手、金額、日時等)
- プライベートとの区別を明確にする(特に飲食費はグレーゾーンになりやすい)
- 税理士への相談が調査リスクを大幅に低減させる
個人事業主の場合、会社員と異なり「経費規程」がないため、自身で合理的な基準を設ける必要があります。また、白色申告よりも青色申告を選択すると、記帳の手間は増えますが、最大65万円の特別控除が受けられるほか、税務調査でも有利に働くことがあります。
特に注意すべきは、事業との関連性です。「なぜその飲食が事業に必要だったのか」を客観的に説明できるようにしておく必要があります。単に「営業のため」では不十分で、「どの案件や取引に関連した接待だったのか」まで記録しておくと良いでしょう。
- 同じ店に通い続ける場合の経費性はどう判断される?
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同じガールズバーに頻繁に通うことは、税務調査で疑義を持たれやすい行動パターンです。しかし、適切な理由と証拠があれば経費として認められる可能性があります。
同じ店に通う場合の経費性判断ポイント:
- 業務上の必然性があるか(特定の取引先が好む店である等)
- 取引相手が毎回異なるかどうか
- 頻度が合理的かどうか(週に何度も通うのは疑われやすい)
- 金額の妥当性(同じ店でも使用金額に大きな変動がないか)
- 立地が合理的か(オフィス近くか、自宅近くか)
同じ店でも、接待する相手が異なる場合や、大切な取引先が特にその店を指定する場合などは、業務上の必然性を説明しやすくなります。逆に、自宅近くの店に頻繁に通い、接待相手が曖昧な場合は、プライベートな利用と見なされるリスクが高まります。
経費として認められやすくするためには、同じ店でも「なぜその店を選んだのか」「何の取引や案件に関連した接待だったのか」を明確に記録しておくことが重要です。また、複数の店を使い分けることで、特定の店への偏りを減らすことも一つの対策です。
- 1人で利用した場合は経費になる?
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一般的に、ガールズバーを一人で利用した場合は、経費として認められる可能性は低くなります。接待や会議の相手がいない場合、業務との関連性を証明することが難しいためです。
一人での利用が例外的に認められる可能性がある場合:
- 市場調査や競合調査が目的であることを明確に記録している
- 取材や記事作成のための利用(メディア関係者など)
- 業界情報の収集が事業に直接関連することを示せる
- 特定の取引先や案件に関連した準備や下見であることを証明できる
これらの場合でも、調査の目的、収集した情報、その後の業務への活用方法などを具体的に記録し、単なる「遊び」ではなく「仕事」であったことを証明する必要があります。
例えば、ナイトビジネスに関連するウェブサイトやメディアを運営している場合、店舗の雰囲気や価格帯、サービス内容などを調査する目的での利用であれば、取材メモや**成果物(記事や報告書)**を保存しておくことで、一人での利用でも経費性を主張できる可能性があります。
ただし、一人での利用は常に税務調査での注目ポイントになるため、他の経費と比較して金額や頻度が突出していないことが重要です。また、可能であれば調査目的の事前計画書などを作成しておくと、事後的な説明よりも説得力が増します。
まとめ
ガールズバーでの飲み代を経費として計上できるかどうかは、一言で答えられる単純な問題ではありません。本記事でご説明したように、業務との関連性が客観的に認められる場合には、経費として計上することは可能です。ただし、接待交際費や会議費といった適切な費目での計上と、それを裏付ける証拠書類の保管が不可欠です。
個人事業主と会社員では経費計上のルールが異なる点にも注意が必要です。会社員は会社の経費規程に従えばよいのに対し、個人事業主は自身で経費の妥当性を説明できる準備が必要になります。領収書の取得と保管、利用目的の記録、確定申告での適切な処理など、日頃からの地道な準備が税務調査への備えとなります。
利用の頻度や金額、同行者の有無なども経費性の判断に影響します。特に一人での利用は原則として経費計上が難しく、例外的に認められるケースでも十分な証拠と説明が求められます。
最終的には税務署が経費として認めるかどうかを判断しますが、仕事に関連した必要な飲食であれば、適切な手続きと記録を行うことで、ガールズバーでの飲食費も正当な経費として認められる可能性は十分にあります。重要なのは、単なる「遊び」ではなく、明確な「仕事」として説明できるかどうかです。
仕事の一環として取引先や同業者との関係構築に飲食の場を活用することは、多くのビジネスパーソンにとって重要な活動です。適切な形で経費計上を行い、ビジネスの発展に役立てていただければ幸いです。